去る7月22〜23日、九条の会東京連絡会の事務局2名が
「福島県九条の会」と「みやぎ憲法九条の会」を訪問して、九条の会として震災・原発問題にどう向き合うべきか、また東京は両県に対してどのような援助がで
きるかをめぐって懇談をしてきました。以下、その様子を紹介します。(文責:福島は平野、宮城は島田)
(1)福島県九条の会との懇談
7月22日、福島県九条の会事務局を訪問しました。行く道すがら、せっかくなので線量計で放射線量を測ってみました。別枠にあるように福島に近づくにつ
れ放射線量は着実に上昇しており、福島市内では1.3〜2.5マイクロシーベルト毎時は当たり前になっていました。ここで24時間356日を過ごせば年間
11〜22ミリシーベルトを被曝する計算になります。事務局の方からも「不安と諦めのいりまじった複雑な感情が市民の中にじわじわ広がっている」との言葉
がありました。
福島県九条の会からは、この間、次のような活動に取り組んでいるとの報告を受けました。@福島県九条の会としては3.11から約1ヵ月の間にニュースの
「大震災・原発事故速報版」を16号配信し、県内の九条の会の状況を詳細に伝えた。A7月11日には声明文「福島第一原子力発電所の『巨大人災』にあたっ
て」を発表し、平和的生存権の侵害という点で戦争の惨禍と原発事故には共通性があること、また原発利益共同体と改憲推進共同体とは人的にも思想的にも同じ
土壌に根をおろしていることを指摘した。B関東を中心にいくつかの県外の九条の会に呼ばれて原発問題での講演を行なった。C避難した人や地元で事業を営ん
でいる人の記録を集めた「原発災害に関する討議資料」を現在作成中である。
原発問題について九条の会として何ができるかという点については、福島県九条の会でも正直迷いがあり、そのため声明を出すのに4ヵ月かかったと述べなが
らも、「草の根に広がっている九条の会だからこそ福島県内各地の様子を全国に伝えることができる」、また「原発問題と憲法問題の連関を押し出していく役割
がある」との発言が出されました。懇談の結果、福島と東京との連携として当面次の2点が考えられることを確認しました。@現在作成中の「原発災害に関する
討議資料」を九条の会東京連絡会を通じて東京都内の各地域にも広く普及し、東京からはその代金の形で福島県の各地の九条の会に義援金を送る、A福島の九条
の会から人を招いて東京の各地で講演会・学習会を開き、それを通じて福島現地の様子を学ぶと同時に、原発事故と改憲との地下茎での結びつきについて広めて
いく。今後も福島と東京とで連絡を取り合うことを約束して別れました。
<放射線量の計測値>
*新幹線の車内(窓際)
東京 0.08μSv毎時
宇都宮 0.10μSv毎時
那須塩原 0.16μSv毎時 |那須塩原〜福島は
郡山 0.36μSv毎時 |0.24〜0.54μSv毎時位
福島 0.23μSv毎時 |の範囲で激しく揺れた。
*屋外
福島駅前のバス停付近 1.37〜
1.27μSv毎時
福島市内の新居浜公園 2.55〜2.21μSv毎時
飯館村役場玄関前 3.72μSv毎時(6月に個人で行った時の計測値)
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(2)みやぎ憲法九条の会との懇談会
7月23日、みやぎ憲法九条の会の河相一成事務局長ら3名と懇談し、次の現状報告を受けました。@宮城県内では死亡・不明者は1万4000名超。生業剥
奪、解雇、自宅喪失など被害は甚大。仮設住宅への入居も生活費を自己負担しなければならないため、南三陸町では仮設の入居拒否が70%、仙台市でも仮設
1500戸のうち628が空き家。とにかく、最低限の生活が確保できていない。A宮城県復興会議が開かれているが、メンバー12名のうち県内からは僅か2
名、議長は三菱総研理事長、会議は初回は県内だったが以降はすべて東京で開催など、地元中心の復興会議とは程遠い。また、村井県知事が「漁港の特区制度」
を主張し、漁業権を民間大企業に売り渡そうとしているが、県漁業協同組合が激しく反発・抗議している。他方、県民は県民センターを設立して要求書を県に提
出、生協中心の食料品供給運動が展開され、水産特区を考える会も7月に結成された。B九条の会の現状は、地域115会のうち会長ら中心メンバーが犠牲と
なった会が少なからずあり、復旧に悪戦苦闘し、運動に目を向ける余裕はなく、被災地では会議も開くことができない。しかし、11月5日、益川俊英氏を呼ん
で講演会「科学と平和」を開く。2300名の会場だが、これをステップにしていきたい。また、自衛隊支援に被災者は感謝しているが、感謝だけではすまない
問題がある。震災と9条の関係も考えていきたい。できれば東京とも一緒に討議したい。
報告後、要望を伺ったところ、@被害の実態をリアルに知って欲しい、宮城から出かけていくので是非呼んで欲しい。A義捐金は届かず、救援物資も余ってい
る(女川町ではダンボール200箱余剰)。焦眉の要求は現金であり、他県の九条の会から寄せられた義捐金はみやぎ憲法九条の会が各会へ割り当て、大変感謝
されている、とのことでした。
懇談後、事務局の池上さんの車で津波に襲われた県南部の名取市と山元町を回り、ふるさと・地域を奪われた現実を前に呆然喪失となりました。
※福島県九条の会、みやぎ憲法九条の会の連絡先
は以下のとおりです。
みなさん、支援の程、よろしくお願いします。
「福島県九条の会」事務局
〒960-8154 福島市伏拝字田中7-3 いげたマン
ション501
TEL 090-2843-7499
FAX 024-546-4410
ホームページ:http://www.geocities.jp/kenpou9jou_fukushima/
「みやぎ憲法九条の会」事務局
住所:〒981-0933 仙台市青葉区柏木1−2−45
フォレスト5階
電話:022−728−8812
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