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 ★ニュー ス『生きいき憲法』




学習講演会の記録

「改憲手続法の施行を控え、どう向き合うのか」


日程:2010年4月26日(月)18:30〜20:30
会場:エデュカス東京・地下会議室
参加者:38人
講師:山口真美氏(弁護士)

1 政権交代と憲法・改憲手続法

 09年8月30日の審判で自民党政権は歴史的惨敗を喫し、民主連立の新政権が生まれました。政権交代を生み出した原動力は、1つは新自由主義路線=小泉 構造改革が拡大させた格差と貧困問題に対する国民の怒り、2つは戦後レジュームからの脱却路線に代表される自民党政権の改憲路線に対するNOの審判であ る。01年に誕生した小泉内閣は04年2月に自衛隊をイラクという「戦地」へ初めて派兵し、05年9月郵政選挙で圧勝した自民党は同年11月に新憲法草案 発表に踏み切った。続く安部内閣は「任期中の明文改憲」を唱えて07年5月に改憲手続法を強行成立させ、改憲の危機がかつてなく高まった。しかし、憲法を めぐるこうした経過の中で行われた07年7月参院選で自民党は惨敗し、09年8月総選挙では改憲派議員が軒並み落選した。このことは、改憲は国民の同意を 得られなかったことを意味している。
 他方、政権の座に就いた民主党は当初は高い支持率だったが、徐々に国民の要求や期待に応えることができなくなってきた。なぜか。後期高齢者問題先送り、 労働者派遣法抜本改正拒否、普天間問題立ち往生などにみるように、「生活第一」は選挙対策でしかなかった。また、自衛隊はインド洋から撤退したがソマリア 沖の自衛隊を撤退させようとせず、改憲問題も「慎重かつ活発に論議する」など、自民党と同じく派兵路線に変更はなく改憲の方向を睨んでいる。民主党の本質 は、新自由主義路線の推進であり、日米軍事同盟の維持強化にある。

2 改憲手続法にどう立ち向かうか

 5月18日に同法は施行されるが、その現在的意味は、「いつかやる改憲」へ向けて改憲派が再結集するステージの構築である。しかし、大事なことは、改憲 手続法成立阻止のたたかいの到達点を確認しておくこと。1つは自公と民主の共同修正による成立という構想が頓挫したこと、2つは3項目の附則と18項目も の付帯決議にみるように未完の欠陥法であること、3つは強行成立後は改憲論議が下火となったこと。特に民主党が要求附則と付帯決議は、その後検討されてお らず実行できていない。民主党は自分でいったことをその後何もできていない。
 また、運動を通して国民がつきつけたハードルは、@最低投票率、A有料意見広告、B広報協議会と広報、C公務員の政治活動禁止と地位利用、という問題点 であった。これらは、いずれも国民主権にかかわる重要な問題点であり、Aはカネで憲法を買うものでイタリアでは全面禁止されている。Bは改憲賛成派2/3 で構成する協議会がTVや新聞を利用して改憲ムードを高める、Cは公務員にも自由な情報伝達と自由な議論は必要である。憲法改正において重要なことは、国 民主権がそこでも実現されなければならない、ということにある。

3 改憲手続法の強行から空白の3年間

 この3年間は、附則と付帯決議について整備する、つまり「欠陥治癒」のための期間であった。しかし、衆参両院に設置された憲法審査会はまったく始動せ ず、国会内で改憲論議もできなかった。その意味は、国民が「欠陥治癒」を求めていないからにほかならない。

4 廃止・凍結を求めて

 改憲手続法の廃止・凍結させる方法は簡単である。「改憲手続法は廃止する」の1条だけの法案で廃止できる。5月18日施行となっても「欠陥」が治癒され ていないから、改憲手続法は死に体である。4月に発表された読売新聞の世論調査結果の見出しは「憲法論議停滞」であったが、読売は国民の改憲を求める声が 冷え込んでいることを嘆いている。九条の会運動がその背景にあることは間違いない。皆さん、改憲手続法の廃止を求めて声をあげていこう。


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