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ス『生きいき憲法』
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学習講演会の
記録
「メディアが『坂の上の雲』で狙って
いるもの」
日程:2010年3月23日(火)18:30〜19:30
会場:エデュカス東京・会議室
参加者:34人
講師:仲築間卓蔵氏(マスコミ九条の会、元日本テレビ・プロデューサー)
ぼくはかねてからNHKのスペシャルドラマ『坂の上の雲』についての危惧を話してきた。今回、僕に「講演」のお鉢が回ってきたのは、そのせいだろう。
司馬遼太郎についての評価はいろいろある。その議論となると果てしなくなるに違いない。僕の危惧は「いま、なぜ、『坂の上の雲』なのか」の一点である。
司馬は生前、この作品の映像化を「ミリタリズムの鼓吹になると思われるかも」と言い、映像化を拒否していた。その権利を2001年にNHKが獲得した。
2001年といえば、NHKが”従軍慰安婦”を扱った『ETV2001』が右翼の攻撃にさらされた年である。小森陽一さんは、「『坂の上の雲』は改憲派に
おもねった企画」と評した。
番組の企画意図には、「…そこには、今の日本と同じように新たな価値観の創造に苦悩、奮闘した明治という時代の精神が生き生きと描かれています。この作
品にこめられたメッセージは、日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれるに違いありません」とある。「若者たちよ、あの明治を見
よ!」というのである。冗談じゃない。
『坂の上の雲』についての疑念はいくつもある。福沢諭吉のことが第一部の冒頭に出ているが、長くなるのでここでは省略しよう。問題は、司馬が咲けて通っ
た「朝鮮侵略の歴史」である。明治政府は、朝鮮支配を「百年の大計」としてあらゆる手段を講じた。1894〜95年、東学党農民蜂起で3万人(女性、子ど
もまで)虐殺。王妃暗殺。王宮占拠…。司馬が描かなかった三大事件である。1910年、韓国併合となる。
ドラマは、昨年末が第一部、今年末に第二部、来年末に第三部。日露戦争、日本海海戦で終わる。なぜ3年がかりなのか。鳩山は「東アジア共同体」と言う。
今年は韓国併合100年である。歴史認識があらためて問い直されるとき、このドラマの問題点は指摘されなければならないと思う。
「たいした影響はないよ」という向きもあるかもしれないが、そうだろうか。気になることは発信し続けたいと思う。東京連絡会のみなさんに、さらに関心を
持っもらえたら幸いである。
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